“季節の変わり目”といえば、“風邪をひく”と続くのがお約束。もちろん冬から春に移り変わるこの時期も例外ではありません。気温が高くなるのにどうして風邪をひきやすいのでしょうか。お天気から考えてみましょう。
「昨日と同じ感覚で出かけたら大失敗」が風邪を引く原因
春先の天気予報を見ていると「三寒四温」という言葉が良く登場します。文字通り、1週間のうち3日間寒い日続いた後、4日間暖かい日が続くというような意味で使われることが多い言葉ですが、まさに日本の春先の気象状況をよく表しています。
冬の間、日本付近は西高東低の気圧配置(いわゆる冬型)が長期間持続して次々と寒気が南下して来ます。ところが、2月下旬から3月ころになると、冬型の気圧配置が長く続かなくなり、低気圧と高気圧が交互に通過して天気が特徴的な周期変化をするようになります。
低気圧が通過して寒気が流れ込んできた後、今度は高気圧に覆われて穏やかな晴れ間が広がるというようなことが数日ごとに繰り返されるようになるのです。これが、日本における典型的な三寒四温です。
このとき空気が入れ替わるときの温度変化は急激で、次の日の最高気温が10℃近く違うということも珍しくありません。特に低気圧の寒冷前線が通過したときには、10分単位でみるみる気温が低下していくこともあります。
「暖かかった昨日と同じ服装で出かけたら、今日は気温が上がらず肌寒かった」とか「朝は暖かかったのに、帰るころには真冬の気温に戻っていた」なんてこともこの季節では日常茶飯事です。
服装を間違えれば、当然、風邪もひきやすいはず。自分の感覚に頼るのではなく、必ず出かける前に今日の最高気温と夜帰るときの気温がどうなっているのかを確認して服装を調整したいものです。
花粉症?もしかしたら寒暖差アレルギーなのかも
また、この時期に気になるのが花粉症の症状です。鼻水やくしゃみが出るが、風邪と違って鼻水は透明でさらさらしている、シャワーで流すと症状が止まるというのが特徴です。
そんな花粉症の原因(アレルゲン)は花粉なので、花粉がたくさん飛散する気温の高い日や風の強い日は花粉症持ちにとって大変です。唯一、気が休まるのは雨が降って気温が低い日くらいでしょうか。
ところが、そんな花粉が少ない日でも鼻水やくしゃみの症状が治まる気配がない人もいます。風邪でないならば、「寒暖差アレルギー」を疑ってみると良いかもしれません。
寒暖差アレルギーというのは俗称で、医学的には「血管運動性鼻炎」というものです。どのような病気かと言えば、アレルギーの症状があるのに、原因になるアレルゲンが見当たらない状態のこと。
医学的にはっきりしておらず、原因はさまざまですが、気温の変化が激しい時期に起きやすいので通称では寒暖差アレルギーと呼ばれることが多いようです。
疲れやストレスが引き金になることもあるので、まずはむやみに体を冷やさないように天気予報をよく見ながら服装に気をつけ、十分な休息をとることが対策になります。
3月の気温は12月と同じ
3月と言えばもうずいぶん春らしい印象を受けますが、東京の最高気温の月平均を比べてみると3月と12月で実はほとんど変わりません。真冬の寒さに身体が慣れているから、同じ気温でも暖かく感じているだけなのです。
また、まだまだ寒の戻りがある季節でもあります。とくに日本の南岸を低気圧が通過する予報が出ているときには要注意。低気圧に向かって北の寒気が引き込まれれば、関東でもまだ雪が降ることもあります。
富士山の積雪深が最大になるのは、実は3月~4月にかけて。暦の上ではとっくに春かもしれませんが、3月はそんな季節なのです。
本格的な気温の上昇はまだ先。油断せずに体調管理に気をつけていきたいですね。